■ 【請負開発案件】手配旅行会社向け予約管理システム導入事例 - ファイブスタークラブ

ファイブ・スター・クラブのシステム管理部 部長 菅原幸介氏に、自社の業務基幹システムの開発を日進に依頼した経緯とその効果について詳しく聞きました。 |
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(ファイブ・スター・クラブについて)
世界各国の秘境や辺境地など個性的なロケーションを得意とする手配旅行会社。顧客の希望を最大限に尊重しており、延泊・減泊、ホテルのグレードアップ、航空会社指定なども自由。また全コースで「1名から催行保証」しています。従業員40名は、「世界178カ国を旅行」「海外渡航350回以上」、「海外添乗経験300回以上」などの経験を持つ旅行好きばかり。設立1995年、店舗は東京、大阪の2拠点です。
― ファイブ・スター・クラブは日進にどんなシステム開発を依頼したのでしょうか。
ファイブ・スター・クラブは日進に、自社の業務基幹システム、通称「OLIVO」の開発を依頼しました。
OLIVOは「必要最低限の機能だけを実装する」という方針で開発しています。通常の旅行会社向けシステムは、「ツアーマスター」「仕入(在庫)管理」「予約管理」「売上と原価の管理」「会員管理」などの機能を備えていますが、OLIVOではこのうち「予約管理」「売上と原価の管理」だけを実装しました。
項目 |
内容 |
通常 |
OLIVO |
「ツアーマスター」 |
ツアー(旅行商品)のマスターデータベース。目的地、期間、経路、ホテル、航空機、最小催行人数、添乗員有無などツアー仕様情報を格納。ホームページ上の商品ページは、ツアーマスターのデータを元に連動表示させることが多い。 |
あり |
なし |
「仕入(在庫)管理」 |
「ホテル」「航空機」などの旅行商品の仕入れ(原価)にあたる項目のマスター管理。ホテルや航空機の枠を事前に一定量確保している場合は「在庫管理」も発生。 |
あり |
なし |
「予約管理」 |
「予約」→「申し込み(またはキャンセル)」に至る一連のプロセスを監視 |
あり |
あり |
「売上と原価の管理」 |
売上げおよび仕入(原価)の管理 |
あり |
あり |
「会員管理」 |
既存顧客のリスト化・会員化。会員へのメルマガ送付など販促。 |
あり |
なし |
OLIVIOを開発する以前は、旅行業界向け有名パッケージソフトウエアを使っていました。そのシステムにはツアーマスターや会員管理など様々な機能が搭載されていました。しかしそれら機能は大半が弊社には不要だったので、2015年に日進にシンプルな新システムの開発を依頼した次第です。
その結果、初期費用は1/6、運用費用は約1/3へと大幅にコストダウンできました。
受託開発というとパッケージソフトウエアに比べて割高な印象があります。しかし今回の場合は逆で「必要なものだけ作る」という姿勢に徹したため、コストは大幅に減少しました。
現場スタッフの使い勝手を
最優先にして作られている
インタフェース画面 |
- なぜ御社にはツアーマスターや会員管理などの機能が不要なのですか。
大きくは「弊社の業務プロセスでは、それら機能を使わないから」ということになります。
まずツアーマスター機能を持たなかった理由について。弊社ではホームペー上に「ギリシャ/8日間」「ブータン・タイ/6日間」「サハラ砂漠/11日間」などの何百種類の旅行商品を掲載していますが、これらのページは、予約システムと連動はしていません。つまり予約システムのツアーマスターからデータを拾って表示しているわけではありません。
こうした運用をしている理由は、弊社ではツアーの自由度を高めるために、「ホテルや航空機や現地添乗員などは、お客様ありきで、お客様から問い合わせが来たその後で手配、確保する」ことにしているからです。この場合「申し込みが先、仕入れは後」となるので、ツアーマスターは必要ありません。
さらに弊社では、予約申し込みは電話だけで受け付けております。したがって「ホームペー上のフォーム」、「フォームと予約データとの連動」などの機能も不要です。
もちろん売上げや仕入の管理は行っております。大きくは次のような手順です。
- お客様から電話で問合せ、希望のツアー内容をヒアリング。
- お客様の要望に沿った形でホテル、航空機などをオーダーメイド手配(ここで仕入額が決定)
- 仕入額を元に提供価格を算出、お客様に見積もりを提出(※)。
- 半金、残り半金とご入金いただき売上げ確定となります。
※ ホームページ上の参考プランから特に変更がない場合は、ホームページに記載したとおりの見積額になります。 |
この手順での、「ツアー内容」、「仕入額(原価)」「売上額」「入金状況」などは担当者が「システムに手入力する」という形で管理しています(=マスター不要)。なお簡単な売上げレポート、粗利レポートは、入力された数値データを使ってシステムで表示可能です(※ CSV出力も可能)
そして「会員管理機能」ですが、弊社では法規に基づきOLIVIO内に顧客情報を保存してはいるものの、会員制度は実施していません。したがって会員管理機能は不要になります。
以上、ファイブ・スター・クラブの現場基幹システムは「自分たちの業務に必要な機能を、必要な分だけ実装する」という方針で開発しました。きわめて簡素な内容ですが、十分、実用に耐えます。
■ 有名パッケージソフトウエア導入が上手くいかなかった理由 |
― ファイブ・スター・クラブでは、以前は予約業務をどのように管理していたのですか。
***年に創業してからしばらくは、簡易システムを使って管理していました。その後、業績が伸びたので、旅行業界向けの有名パッケージソフトウエアを社内標準システムとして全面導入しました。しかし期待に反して、このシステムはまったく役に立ちませんでした。
最大の理由は、「使わない機能のボタンが多すぎること」でした。そのシステムは、様々な旅行業態に対応するために、多くの機能がボタン化されていました。しかし当社のスタンスでは、たとえば「在庫管理関係のボタン」などはまったく不要です。
弊社のスタッフは「旅行好き・アウトドア派」であり、普段からパソコンに親しんでいるわけではありません。そうしたスタッフにとって「使わない機能のボタン」が並んでいるのは、煩わしいだけです。あまりに業務がはかどらないので、システム提供会社に「ボタンを消したい」と依頼しました。しかし「コストがかかる」「ボタンを無くすことで他の機能への影響が懸念される」という回答でした。
業務効率化のために導入したシステムがかえって業務を阻害している…、この状況を改善するために、システムの入れ替えを実施することに決定、候補製品を比較検討しました。
― 最終的に日進による受託開発を選択した経緯を教えてください。
まず旅行会社向けパッケージソフト2社に連絡を取り、製品を試用しました。しかし、そのシステムにもやはり「当社では必要がない余計な機能」が付いていました。ボタンの削除や画面の変更を打診しましたが、「それはできない」との回答だったので、それら製品は断念しました。
一方、日進のことは、知人のつてを通じて知りました。日進には、旅行業界、旅行システムに通暁している担当者がいるので、その方に連絡し、「自社に必要な機能だけを備えたシステムの受託開発は可能か」と尋ねてみました。
それに対しては「受託開発なので、もちろんオーダーメイド設計が可能です」との回答でした。また懸念事項であった「コスト」についても、機能を絞った分、格安になっており、以前使っていたパッケージソフトの1/3の初期費用でした。
また開発納期も「2015年2月に開発を開始し、GW明けには稼働可能」との回答でした。
「機能は必要十分」「価格は安い」「納期も早い」と全ての条件を揃ったので、日進にファイブ・スター・クラブの業務基幹システムの開発を依頼することに決めました。
― これまで使い続けて分かった、OLIVOおよび日進への評価をお聞かせください。
まず「使い勝手」については、期待通り、大幅に改善しました。弊社に必要な機能だけを備えており、余計な画面やボタンはありません。現場かスタッフからも非常に好評です。
またシステムは、レンタルサーバに格納され、私たちが直接管理する必要がない点も便利です。システムはWebブラウザーベースで運用でき、外出先や自宅からでも使える点も重宝しています。
今の機能で業務は円滑に行えますが、将来、機能追加が必要になった場合でも、「受託開発なのでもちろん柔軟に対応可能」ということで、この点も安心感があります。
― - 現在、システムの導入を検討している旅行会社に向けて、「先輩ユ-ザーからのアドバイス」などあればお聞かせください。
ネットを検索すれば、旅行業向けパッケージソフトは数多く見つかりますが、しかしどれも「機能が豊富すぎる」というのが私の感想です。多すぎる機能は業務の効率化を阻害するので、それを導入するよりは、自社の中核業務だけを実装したシステムを受託開発する方が、使い勝手は良いし実はコストも安いというのが、今回、日進にシステムを依頼して分かったことでした。
「自社が何をやりたいのかがハッキリ分かっている会社」にとっては受託開発は十分、検討に値すると思います。
写真左は日進 担当者、淺山 |
※ ファイブ・スター・クラブのホームページ
※ 本システムは、日進100%子会社である日進システムズが担当しました。
※ 取材日時 2015年1月
※ 取材制作:カスタマワイズ
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